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断熱シートの効用 その1 [にじの日常]

 今日も晴れていて、ホット一息。朝の珈琲が美味しく感じます。
今朝の仕事始めの一枚目は、Van Morrisonの Hard Nose the Highway 1973年のアルバムです。2曲目のWarm Loveが有名ですよね。冬の朝の珈琲に良く会う一枚です。


84) 断熱シートの効用 その1
 12月11日のブログに、「プチプチタイプの断熱材を窓に貼りました」とのコメントを頂きました。
実は丁度、にじ達もこの窓ガラスに貼るプチプチ断熱材(世の中では断熱シートと呼んでいるらしいです)の利用を検討していたところでしたので、
またしても、一寸予定を変更して、この断熱シートの性能を計算で検証してみることにしました。笠間の続きの記事は明後日に再開予定ですw。
 だって、たまには設計屋らしいこと?もしておかないとww。

断熱シートが良くわからない人は、一番下のヤフオクの広告に名前を指定しておきますので画像が現れていたら参照してみてくださいw。わざわざクリックする必要はありませんww。

 実はあまり知られていませんが、空気という素材は物凄く断熱の性能が高いのです。但し条件があります。空気が対流しないことです。
対流が起こると、空気は物凄いスピードで熱交換を行い、熱を伝達してしまいます。
空気が対流できないほど、小さな区画に空気を区分して並べることが出来れば、とても効率のよい断熱材が出来上がるわけですが、そんな話は聞いたことがないので、技術的に難しいのでしょう。

08500_1.JPG

まほろさんと小さなぷちぷち。空気層は3mmほどw

 さて、モデルに使用するのは、平滑なガラス面に水張りするタイプ。厚さは4mmで想定します。もし、自分で計算してみたいという奇特な方が居られましたら、お好みの製品に合わせた数値を入れて計算してみてください。
また、一般的なプチプチと断熱シート製品の違いは、一般的なプチプチは、表側は凸凹、裏側は平なのに対して、製品は、両面とも平滑という点です。
 もし、プチプチを窓に貼ることを考えている方が居りましたら、凸凹側がガラス面に向くように、固定するよう検討してください。このほうが、理屈の上では効果が高いです、
因みに、凸凹面が室内側に向くように貼ると、凹部分に空気層がないことになりますので、その面積分の欠損が発生しますw。


 次に、前提条件です。断熱シートは厚さ4mm、素材は0.2mmのポリエチレン、断熱シート内部の空気は対流するものとし、4mm分の空気層が出来たものと仮定します。
ガラスは、フロート板ガラスの3mm(いわゆる普通のガラスです)ガラスの熱伝導率を0.65(W/mK)とします。(ガラスは製品によって、若干幅がありますので、ご利用の窓ガラスのスペックがわかる場合はそちらを使用してください)
ポリエチレンは熱伝導率を0.19(W/mK)とします。 これで、準備は整いました。


 では、計算のための用語と数式を先に解説しておきます。
断熱の性能は「熱還流率」(W/㎡K)で計算します。時間の単位系はhです。※ 最近のエネルギーはJ(ジュール)と秒の単位系が標準です。変換する時は時間の単位が要注意ですw。
つまり、中と外で1℃の温度差があった時に、一時間にどれだけの熱量が移動するかということを示しています。

熱還流率は、熱貫流抵抗の反数になります。熱還流率=1/熱貫流抵抗 というわけです。

そして、熱貫流抵抗(㎡K/W)は各部分の熱抵抗の和になります。
さらに、熱抵抗(㎡K/W)は何かといいますと、各部材の厚さ(m)/熱伝導率(W/mK)で求められます。ぶっちゃけ熱の通しにくさです。数値が大きいほど断熱性能が高いというわけです。

正直、似たような単語ばかりで面倒ですねw。

 もう一つちょっと面倒なやつがいます。部屋の温度が20℃でも、北側の壁を触ると凄く冷たかったりしますよね。
これは、部屋の空気と、壁の手前の空気が熱交換(熱伝達)していると考えます。

この場合、直接熱が貫流するわけではないので、熱伝達抵抗と呼びます。大きな違いは、厚さに依らず一定ということで、実験値で部位ごとに一般化されています。
単位は熱貫流抵抗同じ(㎡K/W)になります。扱いも熱貫流抵抗と同じになります。

室内側熱伝達抵抗 壁 0.11(㎡K/W)
室外側熱伝達抵抗 壁 0.04(㎡K/W)

 そして、もうひとつ厄介なのは空気です。
空気の層は一定の幅を超えると、その性能は安定します、又現場施工と工場生産品で気密性が変わるので、分かれた算定となります。
今回は厚さが4mm=0.4cmなので、0.09(係数)×0.4(cm)=0.036(㎡K/W)となります。


さて、熱抵抗をまとめます。
窓の外側(屋外)から屋内の順です。

室外側熱伝達抵抗 壁 0.04(㎡K/W)
窓ガラス 3(mm)/1000(mm→m)/0.65(W/mK)=0.0046(㎡K/W)
ポリエチレン 0.2mm)/1000(mm→m)/0.19(W/mK)=0.0001(㎡K/W)
空気層 0.036(㎡K/W)
ポリエチレン(上に同じ)0.0001(㎡K/W)
室内側熱伝達抵抗 壁 0.11(㎡K/W)

これの合計が熱貫流抵抗になります。
0.04+0.0046+0.0001+0.036+0.0001+0.11=0.1908≒0.191(㎡K/W)

これを熱還流率に直します。

熱還流率=1/0.191=5.24(W/㎡K)
1℃の温度差で1時間に1㎡あたり5.24Wの熱量が逃げていきます。


今度は断熱シートがない場合
上の式から、ポリエチレンと空気層を外します。
合計は
0.04+0.0046+0.011=0.1546≒0.155(㎡K/W)

同様に、熱還流率=1/0.155=6.45(W/㎡K)


この二つを比べると、断熱シートあり/断熱シートなし=5.24/6.45=0.812
つまり18.8%くらい改善されているということになります。

数字と文字ばっかりで、うんざりされた方も多いかとも思いますが、やってみるとそれほど難しいことはありませんw。

 次回に続きます。次回はコストパフォーマンスについてですww。

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kawasemi

nice&コメントありがとうございました。
東京は、どんより曇りです。
断熱シートの効果測定、自分では確かめようがありませんでした。
参考にして見ます。
昨日は、小さい残りをトイレの窓に貼りました。
by kawasemi (2011-12-14 09:37) 

zappa

 なんだか寒い一日でした。やっぱり、数値上どうこうより、体感的なものを求めてしまいますw。
 ぷちぷち断熱と、建具の隙間テープは、気休めと知りつつも、やってしまいそうな予感ですw。
by zappa (2011-12-14 20:54) 

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